急行「おが」:客車篇
「おが」は、上野〜秋田間を奥羽本線経由で結ぶ急行列車。
昼間列車はキハ58系気動車を使用し、夜行列車は客車列車を使用するという、北海道を除いて全国でも珍しい運転形態でした。
この夜行急行「おが」は、古くから季節列車として設定されていたため、完全な定期列車ではありません。運転区間も時によって秋田止まりだったり男鹿線男鹿まで乗り入れたりと、イマイチ安定性を欠く列車に感じました。

昭和50年頃 東北本線 蕨〜西川口間にて 上り「おが2号」
私が小学生時代、ポケットカメラで撮った写真なので、大変不鮮明で申し訳ありません。
荷物車・グリーン車を連結しない唯一の編成なので、明らかに「おが」であることが判ります。
牽引するEF58も不鮮明なのでナンバーは判りませんが、宇都宮区で原形ヒサシ付きであることは判別できるので、102号機・152号機・153号機のいずれかと思われます。

昭和55年7月23日 東北本線 南浦和〜蕨間にて EF58114牽引 上り「おが4号」
こちらはアップ過ぎてさらにブレているという悲惨な写真です。EF58の次位に直接スハフが連結されているところから「おが」であることが判ります。
客車夜行急行の「おが」は季節列車であったため、あまり写真を撮る機会が無かったように思います。夏場は比較的撮りやすい時間であった筈ですが、EF58自体に着目していない時代で、さらに編成もショボイ感じがしていたので、あまりカメラを向ける気が無かったのでしょう。

昭和55年8月13日 EF5870牽引 急行「おが3号」
未だ高校生の頃です。初めはこの列車が何か判別できなかったのですが、隣の13番線に停車中の列車が秋田行きの急行「鳥海」ですので、時刻表に照らし合わせると、季節急行の「おが3号」であることが判りました。
今まさに乗客が列車の乗り込み始めたところで、列をなして車内へと入っていく様子が伝わってきます。さらに14番線には、この急行「おが」の後発となる夜行列車の待ち客の荷物がホームに置かれ、順番待ちをしている様子も判ります。

平成3年9月22日 北上線 ゆだ錦秋湖〜ほっとゆだ間にて
時は流れ、東北新幹線が開業した後も、秋田方面への夜行需要はあったようで、定期の「津軽」とともに、臨時列車として「おが」も残りましたが、20系化され不評を買った「津軽」のお下がりの20系を譲り受け、20系ブルトレ「おが」が誕生することになります。
そして、折りしも山形新幹線の工事により北上線経由として経路を変更された20系「おが」は、こともあろうにDD51牽引の昔の特急「出雲」のようなスタイルで、北上線を走るようになったのです。

平成4年8月17日 北上線 撮影地不詳
20系は大好きな車輌ですが、もう既に終焉を迎えようとしている頃。最後の活躍といった頃でしょうか。ヘッドの帯が消えてしまい、表情が変になってしまった20系。
しかし、DD51の牽く20系客車は、かつては東北特急の「はくつる」「ゆうづる」、奥羽本線の「日本海」「あけぼの」、そして山陰の「出雲」や九州各線ブルトレと、由緒ある20系特急が必ず歩んだスタイルだけに、その迫力・美しさは、鉄道ファンの心に永遠に残る最高のシーンであると確信します。
この20系最後の「おが」では、テールマークが飾られ、ヘッドマークも掲示、さらにEF5889まで牽引したと知ったのは、ほんの数年前のことでした。
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