国鉄 交直両用型電気機関車:EF80(貨物列車編)
EF80は、昭和37〜42年に掛けて製造された、EF30に続いて量産された交直両用電気機関車で、63両が製造されています。
通常の電気機関車は、1軸の動輪に対して1つの電動機(モーター)が作用するのが一般的ですが、EF30やこのEF80は2軸(1台車)に対して1つの電動機としています。EF30は関門間の接続のみでしたので、特に高性能にする必要もなかったことからこの方式が採用されたようですが、走行距離の本格的な運用に対応するEF80は、交直流機器及び電気暖房装置の搭載による重量増を抑制するため、電動機を減らして軸重軽減に対応したという点において、EF30とはかなり趣旨が異なるようです。
EF80は、大きく分類すると1次型と2次型があり、さらに電気暖房装置を搭載した客貨両用と電気暖房装置を持たない貨物用があります。
※ただし、12系や14系、ブルトレなど客車に電源装置を持つ列車については、電気暖房搭載の有無に拘わらず運用されていました。
今日は、EF80の写真のうち、貨物列車を牽引している写真をご紹介したいと思います。

昭和56年8月30日 北小金〜南流山間にて EF8020牽引 貨物列車
と言いましてもねぇ〜、コレじゃ何を牽いているかさえ分からないですよね。
まあ、この当時は客車列車がこの区間を通るなんてありえませんでしたので、基本的に貨物列車だと思ってください。常磐線←→武蔵野線の短絡線です。
写真の20号機は1次型で、写真では見づらいですが電気暖房の表示灯が付いています。

昭和57年10月12日 荒川沖〜土浦間にて EF8035牽引 専用貨物
写真は、1次型で電気暖房装置を持たない35号機です。1段凹んだヘッドライトとヒサシが特徴の1次型で、貨物専用機は電暖表示灯が付いていません。
あまり詳しくはないのですが、おそらく「日立セメント」の専用貨物ではないでしょうか。ホキ5700やタキ1900が連なっているようです。
また、この頃はまだ緩急車(車掌車:「ヨ」又は「ワフ」)が連結されていて、バリエーション的にはやや魅力に欠けますが、昔の貨物列車らしい編成ですね。

昭和57年10月12日 常磐線 荒川沖〜土浦間にて EF8036の牽く一般貨物
逆光で側面がつぶれ、貨車が見づらいのが残念ですが、この区間の宿命ですので仕方ありません。まだタイガーロープが張られてなく、スッキリした写真が撮れた頃の同区間です。
様々と言いますか、雑多な車両が不規則に連結されている楽しさがある貨物列車。現在では車種のバリエーションが非常に少なくなってしまい、昔ほど魅力を感じることができなくなってしまったのは非常に残念です。
写真の36号機は、35号機と同じ機能に分類され、現在でも大宮総合車両センターで大事に保管されています。

昭和57年10月12日 荒川沖〜土浦間にて EF8043牽引 コンテナ貨物
コキフ50000以下、高速貨物ですね。良く見ると、4両目辺りにもまたコキフが繋がっているようです。
我が住まいの方では、比較的に昼間のコキ50000系の高速貨物の設定が無かったようで、殆ど撮ったことがないんです。なので、そういった意味でも、私的には貴重なワンシーンなんです。

昭和60年4月14日 南流山駅にて EF8035牽引 コンテナ貨物
偶然にも2枚目の写真と同じ35号機です。
59・2のダイヤ改正後ですので、一般貨物が大幅に減少し、コンテナ中心の輸送に変わり始めた頃です。

昭和60年4月14日 南流山駅にて EF8063牽引 C56160の回送列車
「つくば万博」関連で水郡線にSLが走った際に送り込まれたときの回送列車をキャッチしたものです。はるばる京都から運ばれてきたC56160を牽引する、ラストナンバーの63号機です。もちろん2次型で、ヒサシがなくヘッドライトは普通に飛び出ています。
同機は、碓氷峠鉄道文化むらで現在も保存されています。
生涯常磐線を離れることなく活躍してきたEF80ですが、貨物列車の大幅な削減、ブルトレ・普通列車を含む客車列車の度重なる廃止により、昭和62年までに全廃となりました。
にほんブログ村

2