前日は発達した低気圧が日本海に近づいて雨だった。
室戸岬の民宿を予約していた。
前夜より雨風が強く、後でこの低気圧のせいで札幌で電柱が折れたことをニュースで知った。
朝になっても影響は残っていたので、出発時間を30分遅らせることにする。
那賀川(20番鶴林寺と21番太龍寺の間を流れている川です)に沿って上流へとサイクリング。土佐中街道と呼ばれている。別名、紫陽花ロード。
55号は交通量が多いので、ちょっと避けてみました。
このまま土佐中街道をまっすぐ進むと、那賀川の源流からトンネルを抜けて、高知県の物部川に出る。
土佐の28番大日寺、29番国分寺のあたりに行くことができます。
那賀町や那賀川という地名は「土佐中街道」の「中」からきているのではないのかな?
風土記によると「阿波の国」は「粟の国」からきているそうですので。
那賀川の流れ。
さて、目的地は室戸岬なので、那賀町相生から、日和佐に向かって南下する。
23番薬王寺は奥河内にある。車で行くと、いきなり奥河内に入る。薬王寺が日和佐の玄関みたいになっている。
昔の交通は海路であった。したがって大浜、あるいは日和佐港のあたりが玄関であった。
したがって、奥河内はもともと日和佐の奥座敷なのであったのだが…。
私が生まれたのが、奥河内字寺前である。地名によると薬王寺の下あたりである(笑)。
サイクルジャージにヘルメット姿で23番薬王寺下のとば作というセルフのうどん屋に入る。
食べ終えて店を出ようとすると、「ひろっちゃんじゃないの?」と声がかかる。
日和佐在住の従兄弟たちだった。あれまあ、出発時間を30分遅らせたことによる再会。
会うはずのない人に会ってしまった。
おへんろに出ると、偶然では片付けられないような、不可思議な結びつきを感じることがある。
目に見えない作用がはたらいている?
さて、土佐浜街道(=55号)の急坂をハーハー言いながら漕いでいると、みょうと遍路を追い抜き挨拶する。
坂を登ったところに休憩所があったので、休もうとすると先客のみょうとへんろがいた。
松山から今日、日和佐に来たという。去年のゴールデンウィークに徳島県内のお寺を回ったという。
話をしているうちに、急坂で追い抜いたみょうとへんろが到着。
顔を合わせた途端、女性同士が大声を上げる。
1年前の遍路の時に同宿したという。
期せずして同じ日の同じ時間に同じ場所からへんろを再開して、再会したらしい。
太平洋を見ながらのサイクリング。
土佐浜街道は山々が海にせまり、1本道が細々と続く。
鯖大師(弘法大師がここで鯖を3年間断ったそうである)に到着するが、地形的に吹き抜けの場所のようで、強風が吹き乱れていた。
天気予報によると北西の風だった。
山々がついたてのような役目をして、風をさえぎってくれているようで、サイクリングしてても風は苦にならない。
休憩所があり、中に入ると、
アイスボックスがあり冷えたトマトが入っていた。おいしかった(笑)。
おへんろへのお接待です。ありがとう。
道の駅、宍喰温泉で愛情カレーを食べる。
普通のカレーをこのレストランではそう名付けているようだ。
女性は「愛情カレー」とオーダーしにくいよう。
愛情に飢えている(を求めている)と見られそうで嫌なのかな?
私の前に座っている女性へんろ。
このあと彼女は大変身し、外ですれ違ったとき挨拶してくれたが、私は一瞬誰だか分らなかった(笑)。
アラブ(あるいはイスラム)の女性のように布切れを顔に巻き、両眼だけが見えているのだ。
私も、今回からSPF50の日焼け止めを塗るようになったが(笑)。
甲浦(かんのうら)は以前は大阪からのフェリーが到着していた。
私がスキューバダイビングの資格を取った場所でもある。
昔は参勤交代の時に土佐の殿様が山越えをしてここから船に乗ったそうである。
わざわざ歩いて山越えなどしなくても、土佐の港から船に乗れば楽だっただろうにと思うが、船で室戸岬を回るのは危険だったのだろうなと思う。
室戸台風とか、台風の銀座みたいな場所だし。
へんろは同行2人と書かれた傘とか杖を持っている。もう一人は弘法大師である。
確かに一人旅であっても、1人ではないなと思う。
もっとも連れは弘法大師ではなくて前後を歩くへんろであるが。
機会があれば、へんろ同士でお話をする。
どこから来たのとか、今日はどこに泊まるの、といった他愛のないことであるが、一人旅の寂しさは紛らわすことはできる。
この2人は尾崎に泊まると言っていた。
私のサイクルジャージ、ヘルメット姿の写真を撮ってもいいかと訊かれた。
とにかく挨拶が大事。会う人ごとすれ違う人に挨拶した。返事を返さない人もいるが、へんろは挨拶をすることで何かが始まるような気がする。
みょうと岩には綱がかけてあり、結ばれている。
しかしよく見ると、そびえている岩は2つではない。4つあるのだ!
あとの2つはしゅうととこじゅううと?(笑)
室戸岬は足摺と比較して何もないところというイメージがあり、車で行こうという気にはならなかった。
そういうわけで今回が初めてである。
自転車で来てみて、サイクリングにはいいところだなと思う。
御厨人窟。弘法大師が修業したところ。
民宿室戸荘には10組くらい宿泊。
私を入れて3組くらいがおへんろ。
1人は歩きの男へんろで、広島から。会社を引退した人かなと思っていたら、仕事の話が飛び出してきて、まだ55歳で私より若かった(笑)。
歩きの4周目とのこと。今回は18番からで今日帰る。
奥さんを連れて車でも回っている。
もう1組は夫が82歳の車みょうとへんろ。島根から。
民宿の浴室。
夕食にマンボウが出る。初めて食べる。不思議な味でした。北杜夫を食べているような(笑)。
あとクジラの舌が出てきました。クジラなんて小学校の給食で食べて以来かな。噛んでも噛んでも噛み切れない思い出があったのだけれど、今回は柔らかかった。いけるかも(笑)。鰹のたたきもありました。
朝の7時50分頃、24番最御崎寺へ石段登山道を駆け上がる。
私以外に誰もいない。
脚の筋肉の疲れがピークだ。昨夜は全身が痛くて、何度も目が覚めた。
息をハーハー言いながら、山門に到着し写真を撮っていると、スカイライン経由の道を通ってやってきたスリムな女性が、目で挨拶してくる。
この写真に写っている正面左の女性。
私がお参りを済ますと、女性が話しかけてきた。こんなことはめったにないのに…(笑)。
昨日、宍喰温泉の道の駅で私を見かけたらしい。
彼女らも広島から自転車を車に積んできたらしい。
宍喰温泉の道の駅から自転車に乗りたかったが、風が強くて迷っていたときに私を見かけた。
後ろから私を車で追いかけたらしいが見失い、サイクリングを断念したらしい。
多分、私が甲浦に寄り道したせいなんだろう(笑)。
サイクリングは快適でしたよ、と伝えておく。
彼女らは今日は神峯寺の参道を走るらしい。わお、元気な人だ。頑張ってね。
サイクリングを開始し、30分くらいで55歳の歩きへんろに再会。
25番津照寺で車遍路の老カップルに追いつかれる。
この老カップルとは28番大日寺でも再会。
御縁のあるカップルだった。
彼女はここをランニングするのか。フー。
なぎの木。国道の真ん中に立つ御神木。
大日寺は阿波にもある。土佐の大日寺は急坂の上にある。脚がいい加減へばっているのでこたえた。
大日寺の参拝を済ませた後、土佐山田駅に向かう。アンパンマンミュージアムへの玄関となっているJRの駅だ。
ここで自転車を分解する。
数ヶ月前に1度経験していたが、忘れている工程があり、悪戦苦闘。手が油で黒くなる。
今回の遍路道サイクリングでは休憩所で休んでいると、へんろでない人々から話しかけられた。
白衣の威力ですね(笑)。これは魔法のマントですね(笑)。
おかげで一人旅でなくて、同行数人ですね(笑)。
こんな感じの旅。イメージ画像(笑)。
へんろはまわりの人々の温かさに包まれた旅なんですね。
これは病みつきになりますよ(笑)。
アンパンマン列車。
私の自転車を畳んだ状態。
楽しかったなあ、また行こっと(笑)。
初日120キロ、2日目80キロの行程だった。

1