ぽつんと一軒家は昭和の匂いがする。炭焼きであったり、電気がきてなかったり、上水道がきてなかったり…。
時代の流れから隔離されたように感じるのは、流行を追わない世界だからか。
ぽつんと一軒家といっても、2キロメートル、3キロメートル離れた人々にその存在や名前は知られている。
人口密度が高い都会では、社会的なつながりの希薄さの中で隣近所の人にもその存在が知られないし、ましてや2、3キロ離れた人にその存在を知られていることなどなかろう。密集した場所で暮らしている人々の方が、それこそぽつんと一軒家状態だ。多くの無関心な人々に囲まれ、人が持っているものを持っていなかったり、人がやっていることをやっていなかったりしたときに生じる不安や不満を抱え込んで、近くの店や施設へ出かけ、行列する。行列って欲望の塊であることに気づく。都会は便利であるが、そのために行列しないといけない。
山奥のぽつんと一軒家は行列とは無縁な人々といえる。

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